運転免許を取得するにあたり、健康面で特に重要視されるのが「視力」条件です。日本の運転免許制度では免許の種類によって求められる視力の基準が異なり、特に普通自動車免許と中型以上の免許では視力の求められる基準に差があります。この記事では、
- 視力0.7と0.8という数値の意味
- どの免許が視力0.7以上、どの免許が視力0.8以上を求められるのか
- 「中型免許(8トン限定)」がどんな免許で、なぜ「お宝免許」と呼ばれているのか
- 8トン限定中型免許のメリットとデメリット
について詳しく説明していきます。
運転免許の視力条件とは?視力0.7と0.8の違い
運転免許において「視力」とは、運転中に必要な視覚能力を満たしているかどうかを示す大切な指標です。視力の測定は法律や警察によって厳格に定められており、免許の種類ごとに異なる基準が設けられています。
視力0.7以上の免許
普通自動車免許や中型免許のうち「8トン限定」の免許は、両眼で視力0.7以上が条件となっています。
片目の視力は0.3以上が必要ですが、片目が0.3未満の場合でも、もう一方の眼の視力が0.7以上かつ視野が150度以上であれば条件を満たします。また、この区分では「深視力検査」(立体的な距離感の認識能力検査)が不要で、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正も可能です。
視力0.8以上の免許
一方で、中型免許(8トン限定以外)、大型免許、けん引免許、そして第二種免許などでは、両眼で視力0.8以上が求められ、片眼も0.5以上でなければなりません。これらの免許区分では、深視力検査のクリアも必須となっています。
各免許の視力基準一覧
免許区分 | 両眼視力 | 片眼視力 | 深視力検査 | 備考 |
---|---|---|---|---|
普通自動車免許 | 0.7以上 | 0.3以上 | 不要 | 眼鏡・コンタクト使用可 |
中型免許(8トン限定) | 0.7以上 | 0.3以上 | 不要 | 旧普通免許取得者対象 |
準中型免許・中型免許(8トン限定以外) | 0.8以上 | 0.5以上 | 必要 | 距離感認識検査あり |
大型免許・けん引免許・第二種免許 | 0.8以上 | 0.5以上 | 必要 | 視力基準が厳格 |
準中型免許と中型免許(8トン限定)の違い~「お宝免許」と呼ばれる中型8トン限定免許とは
ここで気になるのが、「中型免許(8トン限定)」の存在です。中型免許は「8トン限定」と「限定なし」で視力要件も異なりますが、この「8トン限定」免許、いわゆる「お宝免許」とも言われています。
準中型免許との違い
- 準中型免許は2007年の制度改正後に登場し、車両総重量3.5t以上7.5t未満、最大積載量2t以上4.5t未満の車両を運転できます。
- 一方、「中型免許(8トン限定)」は車両総重量8t未満、最大積載量5t未満までOK。これは準中型よりも広い範囲の車両を運転可能ということを意味します。
8トン限定中型免許の誕生背景
この免許はそれ以前の旧普通免許保持者のために設定された特例的な免許区分で、現行制度では新規取得できません。つまり「持っているだけで有利」「制度変更前の既得権」として重宝されているのです。
なぜ8トン限定中型免許は「お宝免許」なのか?
- 乗れる車両の幅が準中型より広い
4トントラック以上の車両が運転できるため、運送業や業務用車両の利用範囲が格段に広がります。 - 視力基準が緩い
普通免許と同じ0.7以上で良く、深視力検査も不要です。 - 制度改正後は新規取得不可
昔の普通免許取得者が持っているだけの価値があり、「お宝免許」と称されるのです。 - 免許証に「中型車は8tに限る」と記載されているため、わかりやすい特例免許
雇用者側でも一目で車両範囲が理解できるというメリットもあります。
8トン限定中型免許のメリット・デメリット
メリット
- 幅広い車両を運転可能
4トン以上のトラックや一部の大型バン・ワゴンも乗れるため、仕事や副業の選択肢が多くなります。 - 取得・更新条件が緩やか
視力は0.7以上で良く、深視力検査も不要なので身体的負担や検査ストレスが少ない。 - 免許証の記載が特別なので希少価値がある
制度改正前取得者の特権的な免許。
デメリット
- 8トンを超える大型車は運転できない
トラックの中でも10t車などは対象外となります。 - 旅客用途(バスやタクシー)、けん引など特殊免許には適用されない
これらは別途免許の取得が必要です。 - 制度混乱や情報不足で免許範囲を誤認するリスク
法改正が多い日本の免許制度において、自分の免許条件を正確に把握しておく必要があります。
まとめ
日本の運転免許において、視力0.7と0.8の違いは単なる数値以上に、免許の種類や乗れる車種の範囲に大きく影響します。普通免許や中型(8トン限定)は「視力0.7以上」と条件が緩やかで、深視力検査も不要なのに対し、通常の中型以上の免許は視力0.8以上で厳しい深視力検査も必要です。
そして「中型免許(8トン限定)」は、かつての普通免許取得者への特例として設定されたもので、車両総重量8トン未満のより大きな車が運転可能なうえに、視力条件も普通免許と同じ緩さ。現行新規取得はできないため、「お宝免許」として非常に価値が高く仕事の幅も広げられる免許となっています。
免許更新や取得の際は、自らの免許区分の視力基準や運転可能な車両範囲をしっかり確認し、安心・安全な運転に活かしましょう。
この記事が、運転免許の視力条件や中型(8トン限定)免許の価値について理解する手助けになれば幸いです。
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